Subject   : インフレ

カテゴリー : 政治・経済


 インフレ(inflation)
 インフレとは、経済学上の用語で「インフレーション(inflation)」の略称で、モノの値段が継続的に値上がりするような状態を指します。デフレはモノの値段が継続的に値下がりする状態なので、ちょうど正反対の状態を表します。簡単に言えば、インフレは物価が上がっている状態、デフレは物価が下がっている状態です。 景気がそこそこよくて、世の中も安定しているような正常な経済の状態では、物価は年間で2〜3%は上昇すると言われています。景気がよいために企業や個人のカネ回りもよくなり、それがモノに向かうため物価の上昇が起こります。

インフレは好景気で起こり、デフレは不景気で起こりやすいのですが、何もインフレはよい側面ばかりではありません。インフレにも正常なインフレと異常なインフレがあります。異常なインフレとは、たとえば1カ月で物価が10倍〜1000倍にも上昇する狂乱的な物価の上昇です。これは「ハイパーインフレ」と言われ、第2次世界大戦後のドイツや日本、1980〜90年代のブラジルやアルゼンチン、最近では1997〜98年のロシアで起こりました。

特に第2次大戦後のドイツでは(日本もそうでしたが)、靴1足、バター1キログラムが労働者の4カ月分の給料と同じ値段にまで暴騰しました。このような状況ではドイツ国民は生きてゆくことができません。終戦直後のドイツ経済は、混乱という状態を超えて破壊されたと言ってもいいほどです。

実際に第2次大戦によって、敗戦国のドイツと日本の経済基盤は徹底的に破壊されました。そこではモノが絶対的に不足する一方で、それまでの戦費調達のために大量の国債が発行され、紙切れとなったおカネが街にあふれかえっていました。モノの価値が上昇し、マネーの価値がゼロに等しくなったため、歴史的なハイパーインフレが発生したのです。

インフレやデフレはなぜ起こるかというと、「需要と供給」の大原則にたどりつきます。経済を支配している最も大切な原則が「需要と供給」です。株価の上昇や下落、物価の上昇や下落もまさにこの原則から説明できます。需要が多ければモノの値段は上がり、需要が少なくなれば値段は下がります。また、需要が多くてもそれを上回る供給があれば、やはり物価は下がります。逆に少ない需要でも、それを満たす供給がなければ物価は上がることになります。

この20年間というもの、日本はインフレとデフレの間で大きく揺れ動いてきました。80年代の土地バブルとは、土地という資産の値段が大きく上昇する「資産インフレ」そのものです。その土地バブルが崩壊した90年代の日本は、長期間にわたって「需要」がほとんどありませんでした。ここで言う「需要」とは、主に民間企業の設備投資、個人の住宅投資、個人の消費活動の3つを指します。

そこで政府は自ら需要を創り出そうとして、公共投資を中心に経済対策を10回以上も発動したのですが、いずれも単発的で日本経済のすみずみにまで効果が浸透することはありませんでした。(すみずみにまで効果が浸透すると、民間企業の設備投資、個人の住宅投資、個人の消費活動が次第に活発になってゆきます。)

何よりも大手都市銀行や地方銀行が不良債権(=貸したおカネが戻らない)に圧倒されて、おカネの貸出がほとんど行われませんでした。不景気ゆえに借り手もほとんどいなかったという状態で、デフレ不況は次第に深刻化してゆきました。

● ディスインフレ(disinflation)
 一般的に、物価上昇率が低く、インフレが収束した状態を指す。ディスインフレーションの略。
 物価上昇率が継続的にマイナスである(下落している)デフレーション(deflation=デフレ)と区別される。通常、景気が後退期に入ると財・サービスの需給が緩んでディスインフレに移行しやすくなり、さらに需給ギャップが広がるとデフレに陥る可能性が出てくる。
 ⇒ デフレ

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