Subject   : デフレ

カテゴリー : 政治・経済


 デフレ(Deflation )
 一般的には、物価が継続して下落する状態をデフレーション略してデフレと呼ぶ。

デフレとは、お金の価値が上がり、相対的にモノの値段が下がることをいう。モノの値段が下がったからといっても、通常、人は必要以上にモノを買わないので、モノが同じ数だけ売れても、販売価格が下がれば企業の売り上げは落ちていく。 企業業績が悪くなると、経済活動全体が元気をなくし、経済が縮小していく。

デフレの場合も、全てのモノの値段が比例して動けば、問題はないが、現実はそうではなく、物価の下落に追いつけないものが出てくる。
例えば賃金などがその1つである。 企業が出荷する製品の価格が下がり、売上が減っても、すぐに賃金がカットされるわけではない。それは、賃金は従業員の生活を支えており、重大な関心事である。それを引き下げれば従業員の労働力を下げるおそれがあり、悪くすれば労使紛争にもつながりかねないからである。
そのため、企業は賃金引き下げに慎重にならざるを得ず、それだけ収益が圧迫されることになる。そして企業は出費を抑えるようになり、新たな設備投資を抑制する。企業業績の不振が雇用不安につながるため、将来を心配した家計は、消費を抑えることになる。住宅のような長期のローンを伴う買い物を控えるようになり、ますますモノは売れなくなり、そしてさらに物価は下がる。

住宅ローンなどで債務を抱える家計は、物価の下落によって実質的な債務が増大する。
名目金利の低下により、市中変動型の債権(普通預金など)の利子収入は減少する。
名目金利の低下する速度以上の物価の下落が発生している局面では、実質金利が上昇し投資活動が低下する。これが経済活動を停滞させる要因となり、賃金の下落や失業、ひいては消費支出の減少とさらなる企業活動の停滞をもたらす要因となる(デフレスパイラル)。

モノの値段が変動しても、モノ自体の価値は、短時間ではそれほど変わらない。物価が高騰したり下落したりする場合は、モノの価値自体が変化しているのではなく、お金の価値が変化しているのである。

■ デフレと経済政策
お金の価値が安定していなければ、日常の買い物に困るだけではなく、経済活動全体が困ることになる。例えば、翌月あるいは何カ月か先の取引をあらかじめ取り決める際に、金額をいくらに設定すればよいのか決めにくくなる。 家計や企業の経済活動および金融活動を円滑に行うためには、取引の基準となるお金の価値を安定させる必要がある。
このお金の価値(=通貨の価値)を安定させる役割を持っているのが、日本の中央銀行である日本銀行である。日本銀行は、通貨価値の安定を図ることで物価を安定させ、ひいては日本経済を安定的に成長させる土台を作っている。 経済政策を通じて、直接的に金融市場に働きかけることができるのである。
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