Subject   : 抗Jo-1抗体

カテゴリー  : 学術情報 > 生化学


 抗Jo-1抗体
 抗Jo-1抗体は、1980年に多発性筋炎(polymyositis:PM)や皮膚筋炎(dermatomyositis:DM)の患者血中に発見された自己抗体で、患者の頭文字をとって命名された。

 対応抗原は、分子量50,000のタンパク質で、ヒスチジル-tRNA合成酵素である。この酵素はtRNAの塩基配列に対応し、特異的にヒスチジンをtRNAに結合させる働きを持つ。ヒスチジルtRNA様のRNAを持つウイルス感染によって、この自己抗体が産生されるという見方があるが、DM、PMでなぜ特異的に本抗体が検出されるのか、明確な機序については不明な点も多い。

 一般にDMの診断は、筋肉痛、近位筋優位の筋力低下や、ヘリオトロープ疹など特徴的発疹の臨床所見に加え、血中CPK、AST、アルドラーゼなどの筋原性酵素の上昇、筋電図での筋原性パターンや、筋生検、皮膚生検所見なども加味して総合的に診断される。抗核抗体は本症の約70 %で陽性となり、抗Jo-1抗体が陽性となればさらに診断精度は高まる。

 一般的に抗Jo-1抗体のPM/DMにおける出現頻度は20〜30 %と高くない。しかし、他疾患で抗Jo-1抗体が陽性となることは少なく、他の膠原病に合併したPMで出現することもまれである。このため、抗Jo-1抗体はPMに特異性の高い検査であるといえる。また、DM患者の20〜50 %に間質性肺炎が合併するが、うち60 %で抗Jo-1抗体が陽性となる。多発性関節炎やレイノー現象を伴う場合は、さらに出現率が高まる。

<出典:LSIメディエンス>

 ■ 適応疾患
 多発性筋炎,皮膚筋炎
 ⇒ 抗原と抗体

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