Subject   : 薬の投与法3

カテゴリー  : 学術情報 > 薬学


 特殊な薬の投与方法
経口ルートや注射ルート、舌下ルート、直腸ルート以外にも 髄腔内投与、眼や鼻からのルート、吸入などといった方法があります。

 ■ 髄腔内投与
髄腔内投与では、脊柱(せきちゅう)下部の2つの椎骨の間から針を刺して脊髄を囲む空間に挿入し、脊柱管薬を注入します。注射部位を麻痺(まひ)させるために、しばしば少量の局所麻酔薬をそこに用います。この経路は、脳や脊髄とそれらを覆っている組織(髄膜)に急速な効果や局所効果を与える薬が必要なとき(たとえば、これらの部分の感染症を治療する場合)にも使います。この方法で麻酔薬を投与することもあります

 ■ 眼のルート 
緑内障や結膜炎、単純ヘルペス感染症、外傷など眼の病気の治療に使う薬は、不活性物質と混ぜて液体やゲル、軟膏(なんこう)にすれば、眼に塗ることができます。液体の点眼薬は比較的使いやすいのですが、眼から流れ落ちるのが速すぎて十分に吸収されないおそれがあります。ゲルと軟膏は薬を眼の表面につけるものです。薬を絶え間なく少しずつ放出する固体の挿入薬もありますが、所定の位置に入れて保持するのはやや大変です。眼の薬のほとんどは、局所効果を得るため用いられます。たとえば、ドライアイを緩和するときは、人工涙液を使います。アセタゾラミドやベタキソロールなど緑内障(緑内障の主な治療薬を参照)の治療に使用する薬やフェニレフリンやトロピカミドなど瞳孔を開くのに使用する薬などは、角膜や結膜から吸収されて局所効果を現します。しかしこれらの薬には、血流に乗って体内の他の部分で好ましくない作用をするものもあります。

 ■ 鼻のルート 
鼻腔を覆っている薄い粘膜から薬を吸いこんで吸収する場合は、薬をきわめて小さな液滴、つまり霧状にする必要があります。薬は吸収されると血流に入ります。一般にこのルートで投与する薬はすぐ効きます。これらの薬の中には鼻腔を刺激するものもあります。この方法で鼻粘膜から投与する薬には、ニコチン(禁煙用)カルシトニン(骨粗しょう症用)、ジヒドロエルゴタミン(片頭痛用)、ステロイド薬(アレルギーや喘息用)などがあります。

 ■ 吸入 
亜酸化窒素(以前は笑気ガスとも呼ばれていた)など全身麻酔に使用するガスは、吸入投与します。口から吸入する薬は、鼻で吸いこむ薬よりもさらに小さな微粒子にしなければなりません。薬は気管を通って肺に到達しますが、薬が肺のどのくらいの深さまで行くのかは液滴の大きさによります。液滴が小さければ小さいほど深い所まで届き、肺の内部で血液中に吸収されます。患者が特定の時間内に適正な量の薬を吸入できたかどうか注意深くモニターしなければならないことから、この方法で服用する薬はあまりありません。通常は、エアロゾル化された喘息(ぜんそく)の薬など肺に作用する薬を定量噴霧器で投与するときに、この方法を使います。
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