Subject   : 薬の投与法2

カテゴリー  : 学術情報 > 薬学


 薬を皮膚から投与する方法
薬を皮膚から投与するには、針を使って注射する
(1)皮下注射、
(2)筋肉注射、
(3)静脈注射、
と、
(4)パッチ剤を貼る(経皮的吸収)、
(5)体内に埋め込む(インプラント)
などといった方法があります。

 ■ 皮下投与 
皮下投与では、針を皮膚のすぐ下にある脂肪組織に挿入します。注入した薬は毛細血管に入り血流に乗って運ばれるか、リンパ管を経て血流に達します。インスリンのような大きな分子のタンパク質でできた薬は、組織から毛細血管への移動が遅いため、通常はリンパ管を経て血流に入ります。タンパク質製剤の多くは内服すると消化管で消化されてしまうため、皮下から投与されます。

 ■ 筋肉内投与 
より大量の薬が必要なときには、皮下投与よりも筋肉内投与が適しています。筋肉は皮膚と脂肪組織の下にあるため、長い針を使います。薬は上腕、太もも、あるいは尻の筋肉に注射します。薬が血液中に吸収される速度は、筋肉への血液供給によってある程度決まります。血液供給が少ないと、薬の吸収に時間がかかります。体を動かしているときは血液供給が多くなります。

 ■ 静脈内投与 
静脈内投与とは、針を直接静脈に挿入する方法です。薬が入った溶液を1回の注射ですべて注入することもあれば、点滴などで持続的に注入することもあります。点滴の場合、溶液は折りたたみ式ビニール袋から重力あるいは輸液ポンプによって細い柔軟なチューブを経て、通常は前腕の静脈に挿入したチューブ(カテーテル)へと送りこまれます。静脈内投与は正確な用量を速く、手際よく全身に運ぶ最も良い方法です。静脈内投与は、皮下注射や筋肉内注射では痛みや組織の損傷を起こしかねない、刺激性の薬にも使われます。しかし、肥満の人では針やカテーテルを静脈内に挿入するのが難しくなるため、静脈内注射は皮下注射や筋肉内注射よりもやりにくいことがあります。
静脈内に投与した薬はただちに血流によって運ばれるので、他の経路で投与したときよりも早く効果が現れる傾向があります。このため、医師は静脈内投与を受けた患者をよく観察して、薬が効いているかどうか、あるいは薬が好ましくない副作用を起こしていないかどうかを調べます。また、この経路で投与する薬の効果はおおむね短時間持続型です。

 ■ 経皮ルート
皮膚に貼ったパッチ剤から吸収され、体全体に運ばれるものもあります。これらの薬を皮膚の浸透を良くするアルコールなどの化学薬品と混ぜ合わせると、注射をしなくても皮膚から血液中に吸収されるようになります。パッチ剤を使えば、薬をゆっくりと絶え間なく、数時間から数日、あるいはもっと長い時間をかけて投与できます。その結果、血液中の薬の濃度を比較的一定に保つことができます。パッチ剤は、体からすぐに排泄される薬で特に役立ちます。こうした薬は他の投与法だと、頻繁に投与せざるをえなくなるからです。パッチ剤は、人によっては皮膚を刺激します。また、薬が皮膚に浸透する速さによる制約も受けます。1日量が比較的少ない薬しかパッチ剤では投与できません。このような薬には、ニトログリセリン(狭心症用)、スコポラミン(乗り物酔い用)、ニコチン(禁煙用)、クロニジン(高血圧用)、フェンタニル(痛みの緩和用)などがあります。
 ⇒ 

[メニューへ戻る]  [HOMEへ戻る]  [前のページに戻る]