Subject   : カロチノイド

カテゴリー  : 学術情報 


 カロチノイド
生物界に広く分布する黄・橙・赤色の脂溶性色素を総称してカロチノイド (カロテノイド)というが、そのうち炭化水素のものはカロテン類に 分類され、 α−カロチン、β−カロチン、γ−カロチン、 リコピンがある。α、β、ガンマのカロチンをまとめにして単にカロチンと呼ぶこともあります。
カロチンは緑黄色野菜に多く含まれており、人の体内でレチノールに 変わるビタミンA前駆物質(プロビタミンA)です。

1831 年にニンジンから,今 β - カロテンと呼ばれているものが見出され, それ以後約 90 種もの同じようなカロチノイドが知られています。 黄色系統の花にはたいていカロチンが含まれています。
このカロテンという色素は,花だけでなく,緑葉,果実,根などにも入っています。 また,動物でも血液や臓器,脂肪,卵黄などにカロテンが含まれています。 カロテンと同じような骨格を持った分子のリコピンもカロチノイドの仲間で、 トマトや柿の実に含まれていることがよく知られています。 α-カロチンはニンジン、クリなどに含まれています。
他にも,さまざまなカロチノイド色素があって, クリプトキサンチンは西洋カボチャの色素であり,パパイヤ、ポンカン、 卵黄やバターにも存在しています。強い抗ガン作用があることで注目されて います。 キサントフィルも葉の中に多量に含まれています。 ちなみに,このキサントフィルという名前は,1837 年にベルセーリウスが黄色い葉という意味で名づけたそうです。
ゼアキサンチンはパパイヤやマンゴー、ほうれん草 などに含まれている黄色色素。カロテノイドの一種です。 目の網膜などに存在しており、主に目における抗酸化作用があるとされています。
その他にも,ロドキサンチンや カプサンチン,クロセチンなどがあり, カプサンチンはトウガラシの実の赤さがそうであり,クロセチンは生薬のサフランの黄色がそうです。
アスタキサンチンは、エビやカニ、タイ、サケ、マスなどの殻や肉の赤色色素です。

■ カロチノイド色素の性質
カロチノイド色素には,必ず共役二重結合系があり,これが色の原因となっています。 この二重結合系が両端部分の影響によって少しずつ吸収帯の位置や,形を変えることで, あのような黄色ないし赤色を示すことになっています。 その他の性質としては,水に溶けにくく,油脂やベンゼンに溶けやすいということがあげらます。
この性質は,カロチノイドが共役二重結合が連続した構造をもっているためにおこります。 また,この性質がフラボン類やアントシアン類とは違う性質なので,花びらの色素を調べるのにも利用できます。 花びらの着色部分は大抵花の表面の方であって,花びらの中には色素を含んでいないことの方が多いです。
そして,表皮の細胞の表面部分にあるプラスチドと呼ばれる粒状のものの中にカロチノイドは含まれているのであって, 溶液にはなっていません。 細胞の中心部分は液胞といって,液体が入っていますが,こちらの方にはフラボノイドが入っています。

 ⇒ フラボノイドの特徴

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