Subject  : 口の渇き、のどの渇き

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 口の渇き、のどの渇き
 口が渇くという現象には、のどが渇いて水を飲みたくなる真の口渇感と、口のなかの乾燥が主である口内乾燥感の2種類あります。

 前者は、細胞外液の浸透圧が上昇して口渇を感ずる中枢が刺激された生理的状態です。これは水を摂取することにより、体内の水分代謝を正常化しようとする合目的な欲求ですから、生物が生命の維持に必要な機構といえるわけです。
 後者は、唾液分泌が減少し口腔や咽頭部の粘膜が乾燥する状態で、時には口のなかが粘って飲み込みにくいと訴えることもあります。一般的には口渇と口内乾燥は合併することが多いのです。
 老人では一般に体内の細胞内水分量は減少し、また口渇中枢の機能も低下しており脱水に陥りやすいといわれています。

 【原因と診断】
 真の口渇の原因となる体液量の減少や浸透圧の上昇は、嘔吐、下痢、発汗過多により体内から体外に水が失われる脱水状態、および塩分の過量に伴う相対的な水分の不足状態のときに起こります。
 のどの渇きを訴える病気で最もよく知られているのは糖尿病で、初期症状としてのどの渇きのほか、多飲、多尿、全身倦怠感といった症状が現れます。尿崩症は多尿と強い口渇感が特徴で、脳下垂体後葉から分泌される抗利尿ホルモンの低下によります。利尿薬による治療中にも脱水の起こることがあります。
 口内乾燥の原因となる代表的な病気はシェーグレン症候群で、唾液や涙液の分泌が障害され乾燥性角結膜炎、口腔内乾燥症、膠原病を3主徴とする慢性疾患です。
 唾液分泌減少の原因には 糖尿病、放射線障害、尿毒症、甲状腺疾患、鉄欠乏性貧血などがあります。
 また、ある種の胃腸薬、降圧薬、精神神経用薬を服用したとき、鼻づまりなどで口呼吸になるとき、老人性の唾液分泌減少時にも口内乾燥がみられます。

 口の渇きについては、真の口渇と口腔粘膜の乾燥を区別することが重要です。  口腔内乾燥が続いているときは、虫歯が多くなったり、口唇の亀裂や、舌運動が悪くなることも参考になります。
 起こり方からみて、急性の口渇は下痢、嘔吐、大量発汗、やけど、出血などによりますが、慢性の口渇で最も多いのは糖尿病です。
 尿の観察は、原因を推定するうえで大切で、尿量が減少したり色が濃くなる場合は脱水症を疑います。また、尿量が多いにもかかわらず濃い場合は糖尿病、薄い場合は尿崩症や心因性多飲症を考えます。
 随伴症状としては、皮膚粘膜の状態、神経と筋肉の症状、血圧と脈拍、浮腫などに注目します。脱水のときは、皮膚や粘膜は乾燥し緊張度が低下するとともに、血圧低下、脈拍の増加などもみられます。水欠乏性の脱水が重症になると、精神状態に異常をきたしたり、死に至ることもあります。
 老人では食欲低下をきたしやすく、また口渇感はあっても鈍感となりやすく、水分摂取量が必然的に減少する傾向があります。
 病院での脱水の診断は、血液中のナトリウム、カリウム、酸塩基平衡やホルモンなどを調べ、シェーグレン症候群の診断には唾液分泌量の測定、耳下腺造影、唾液腺シンチグラフィ、唾液腺の生検などが必要です。

 【治療】
 水欠乏性の脱水では水分を補給しますが、食塩欠乏性脱水では水分だけを与えると水中毒となりむしろ危険で、電解質の補給が必要です。たとえば、発汗の激しいときには水と塩分の補給が必要です。重症の脱水状態の判断は専門的になるので、医師による診断と治療が必要です。
 口内乾燥にはのど飴をしゃぶったり、人工唾液を用いる方法あるいは折りにふれて水で口をすすぐことがすすめられます。
 ⇒ 神経系の病気の症状

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