Subject  : 肺炎の診断と治療

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 肺炎の検査と診断
 肺炎の診断のための検査は下記の表のように大きく3つに分類されます。  ほとんどの場合は、肺炎であるとの診断は胸部X線によって確定され、肺炎を引き起こしている病原菌を特定するためには、痰や血液などの検査も行われます。しかし、正確な病原菌を特定できない例は肺炎の患者さんの半数にも達しています。

検査項目 メモ
胸部X線検査 胸部X線写真のパターンから、大まかな病原菌を特定することができます。 陰影の性状、広がりなどを詳細に調べるためには、CT検査を行うこともあります。
血液検査 白血球、好酸球、赤沈、CRPなどから炎症が生じているかどうかを判別
できます。 細菌性肺炎では白血球増加と核左方向移動が特徴です。
非定型肺炎では白血球増加がみられないこともあります。
病原菌の特定 適切な抗菌薬を用いるために、病原菌の特定を行います。喀痰などの呼吸器由来のものと血液の検査が重要となります。

 肺炎の診断はまず、患者さんの自他覚所見の問診から行います。肺炎を疑った場合は、胸部X線検査を行います。それと同時に、血液検査も実施しこれらの検査結果を総合して肺炎と診断します。また、重症度の判定と病原菌の検索も行います。
原則として、中等症で脱水症状を伴うもの及び重症例では入院して治療を行います。ただし、65歳以上の高齢者で通院が困難な場合は入院して治療することになります。

胸部X線及び身体所見による判定 検査所見による肺炎の重症度判定
判定項目 重症判定基準
5項目中3項目以上
に該当
判定項目 重症判定基準
5項目中3項目以上
に該当
胸部X線像の陰影の広がり 1側肺の2/3まで 白血球 ≧20000/μl あるいは
<4000/μl
体温 ≧38.6℃
脈拍 <100/分 CRP ≧20r/dl
呼吸数 ≧30/分 PaO2 ≦60Torr
SpO2≦90%
脱水症状 (+)


 肺炎の治療法
 肺炎を起こした病原菌にあった抗菌薬による治療が重要ですが、その特定には時間がかかるため、まず始めは推定病原菌に対しての治療(エンピリック治療:empiric therapy)を行うことになります。その後、病原菌が特定されたら、その菌の感受性によって治療薬の変更を検討することになります。  また、化学療法の効果判定は治療開始3日後に行うのが原則で、軽症〜中等症の細菌性肺炎では抗菌薬の投与は3〜7日間で十分です。ただし、非定型肺炎や重症例では、さらに継続投与が必要となる場合もあり、自他覚症状の改善、炎症所見の正常化、肺炎陰影の改善などによって判定を行っています。

疑われる肺炎の分類 選択される抗生物質
細菌性肺炎の疑い 広域ペニシリン
セフェム系
ニューキノロン系
非定型肺炎 マイコプラズマ、
レジオネラ
マクロライド系
クラミジア テトラサイクリン系
院内肺炎 第2・第3世代のセフェム系
嚥下(えんか)性肺炎 リンコマイシン系
ペニシリンG など

また、対症療法として、 せき、痰に対する鎮咳薬、去痰薬の治療とともに、発熱に対する解熱薬、消炎薬での治療も行い、患者さんの身体への負担を軽減させます。
 ⇒ 肺炎

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