Subject  : 呼吸不全

カテゴリー: 健康・医療情報 > 呼吸器系の病気


 呼吸不全
呼吸不全とは、血液中の酸素濃度が危険なほど低下したり、または二酸化炭素濃度が危険なほど上昇している状態をいいます。
呼吸不全は、慢性肺疾患の末期に起こることが多く、緊急の治療が必要です。 また、急性呼吸促迫症候群などの重い急性肺疾患によって、健康な人にも呼吸不全は起こります。呼吸機能や肺に影響を及ぼすほとんどすべての病気が呼吸不全を起こす可能性があります。麻薬やアルコールなどの過剰摂取は深い鎮静状態を引き起こし、呼吸停止や呼吸不全を引き起こします。気道の閉塞、肺組織の損傷、肺周辺の骨や組織の障害、肺を正常な形に保つ筋力の低下なども呼吸不全を起こす一般的な原因です。 肺塞栓症などのように、肺を通る血流の異常によっても呼吸不全は起こります。肺塞栓症では肺への空気の出入りは阻害されませんが、肺の一部への血流が止まるため、空気中から酸素をうまく取りこめなくなります。

 【症状】
血液中の酸素濃度が低下すると、皮膚が青っぽく変化するチアノーゼが起こり、二酸化炭素濃度が上昇して血液の酸性度が高くなると、錯乱や眠気が起こります。体は二酸化炭素を体外に放出しようと深く速く呼吸しますが、肺が正常に機能していない場合にこのような呼吸をしても効果はほとんどありません。やがて酸素濃度の低下によって脳や心臓は機能不全に陥り、意識混濁や意識消失、不整脈などが起きて、死に至ります。
呼吸不全の症状は、原因によって異なる場合があります。異物を吸いこんで気道の閉塞を起こしている子供(知っておきたい応急処置: 窒息を参照)は、呼吸をしようとあえぎ、もがきます。中毒だったり体力が低下している患者は、静かに昏睡状態に陥ります。
医師は、症状と診察所見から呼吸不全を疑います。血液検査の結果、酸素濃度が危険なほど低下していたり、二酸化炭素濃度が危険なほど上昇している場合に、診断が確定します。
呼吸不全が徐々に進行するにつれて、肺の血管内の血圧が上昇する肺高血圧症(肺高血圧症を参照)が起こります。これを治療せずに放置しておくと、肺の血管が損傷を受け、血液中への酸素の取りこみがさらに悪化し、心臓に負担がかかって心不全を引き起こします。

 【主な原因】
気道の狭窄 慢性気管支炎肺気腫気管支拡張症、嚢胞性線維症、喘息、細気管支炎、吸引した粒子 呼吸の減少 肥満、睡眠時無呼吸、薬物中毒 筋力の低下 重症筋無力症、筋ジストロフィ、ポリオ(小児麻痺)、ギラン‐バレー症候群、多発性筋炎、脳卒中、筋萎縮性側索硬化症、脊椎損傷 肺組織の異常 急性呼吸促迫症候群、薬物反応、 肺線維症、肺胞の線維化、広範囲の腫瘍、放射線、 サルコイドーシス、やけど 胸壁の異常 側弯症、胸部の外傷、極度の肥満、胸郭形成術(肋骨の一部を外し、肺の病変部をつぶす手術)

 【治療法】
たいてい、まず酸素吸入が行われます。普通は、必要な量よりも多くの酸素を与え、後で調節します。慢性的に二酸化炭素濃度が高い患者に過剰な酸素を与えると、肺への空気の出入りが遅くなり、二酸化炭素濃度がさらに危険な状態まで上昇します。このような患者に対しては、酸素の供給量をより注意深く調節する必要があります。
呼吸不全の原因疾患も治療しなければなりません。感染症には抗生物質を使用し、気道を広げるには気管支拡張薬を使います。炎症を抑える薬や血液凝固を予防する薬などが使用されることもあります。
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