Subject   : オキシトシン

カテゴリー  : 話題のことば > ホルモン


 オキシトシン (Oxytocin, OXT, OT)
9個のアミノ酸で構成されるペプチドホルモン。
視床下部の室傍核と視索上核の神経分泌細胞で合成され、下垂体後葉から分泌されるホルモン。 (Cys-Tyr-Ile-Gln-Asn-Cys-Pro-Leu-Gly)
分子量1007.23

2つのシステイン(Cys)を含み、それぞれの硫黄原子が結合して(ジスルフィド構造)、大きな環を作っている。
同じく下垂体後葉ホルモンであるバソプレシンと構造が似ており、アミノ酸2つだけが違う。

オキシトシンには末梢組織で働くホルモンとしての作用、中枢神経での神経伝達物質としての作用がある。
末梢組織では主に平滑筋の収縮に関与し、分娩時の子宮収縮や乳腺の筋繊維を収縮させて乳汁分泌を促すなどの働きを持つ。このため臨床では子宮収縮薬や陣痛促進剤として用いられる。 ・オキシトシンは、陣通時の子宮筋の収縮と乳腺反射に作用する。
・吸乳や子宮のうける刺激・血液の浸透圧変化などを受け分泌される。

・プロスタグランジン合成などに作用する。

中枢神経では視床下部の室傍核 (PVN) や視索上核 (SON) にあるニューロンから分泌され、下垂体後葉をはじめ様々な脳の部位に作用し機能を調節している。
オキシトシンは、特に社会行動を調節する神経伝達物質として注目されるようになった。オキシトシンをノックアウトしたマウスでは、一般的な学習・記憶能力は正常であるものの、他個体の匂いが記憶できなくなるという社会的健忘症という症状を呈することが報告されている。
オキシトシンを鼻粘膜投与されると、見ず知らずの相手に対して信頼性を高め、よりリスクの高い投資行動を行ってしまう。このようにオキシトシンは、さまざまな種でひろく社会行動を促進すべく作用することがわかってきた。

オキシトシンの受容体は、Gタンパク質共役受容体でありGqタンパクと結合し、ホスホリパーゼCを活性化させる。バソプレシンとも強い親和性を持つ。 中枢神経、子宮、乳腺のほか、腎臓、心臓、胸腺、膵臓、脂肪組織でも発現が確認されている。

 ⇒ ホルモンがつくられる部位と機能

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