Subject   : エストロゲン

カテゴリー  : 話題のことば > ホルモン


 エストロゲン
エストロゲンは,代表的な女性性ステロイドホルモンであり,標的臓器の細胞質内レセプターと結合して作用する。エストロゲンとしては,現在20種類以上確認されているが,エストロン,エストラジオール,エストリオールの3つが主である。このうち,生理活性の 最も高いエストラジオールが重要となる。

● エストラジオール(E2 : estradiol )
エストラジオールは,主 として卵巣から産生され,卵胞発育に伴い特徴的な分泌パターンを示し,妊娠中は,胎盤性エストロゲンの一部として大量分泌される。また,性腺系の発育増殖をつかさどるほか,骨代謝に関与し,骨格の成長効果を持つ。妊娠時における胎盤機能の指標として,思春期,不妊症,更年期,閉経婦人における卵巣機能と評価のして重要な意味をもつ。
・女性では黄体形成ホルモンピークの2日位前に先行して急峻な E2ピークを示す。
・女性の更年期,閉経期で低値を示し更年期症状と深く関係する。
・加齢による卵巣機能低下に伴いE2値が減少する。

 △ エストラジオール高値疾患
エストロゲン産生腫瘍 ・ 卵巣過剰刺激症候群・ 副腎皮質過形成(男子)

 ▼ エストラジオール低値疾患
・ 無月経 ・ 卵胞発育障害 ・ 黄体機能不全

● エストリオール(E3 : estriol)
E1,E2の代謝物で尿中に最も多く出現し,卵巣での生成は少ない。血中では主に抱合型として存在する。 エストリオールのエストロゲン活性は,最も弱いが,妊娠後期に胎盤より多量に分泌され,エストロン・エストラジオールの子宮興奮作用を抑制し,胎児−胎盤機能に対し,生理的に重要な意義をもつ。 特に尿中エストリオール値 は,胎児,胎盤,母体系機能の指標として、臨床上最もよく測定されている。
・妊娠の進行とともに母体血中E3は増加する。妊娠初期にエストロゲンの30% ,後半に90%をE3が占めE1・E2よりE3の増加が最も著明である。その存在型は主にglucuronide抱合型である。
・非妊婦では尿中への代謝が速い為血中にほとんど存在しない

 △ エストリオール高値疾患
・ 多胎妊娠 ・ Rh型不適合妊娠

 ▼ エストリオール低値疾患
・ 胎盤機能低下 ・ 重症妊娠中毒症 ・ 子宮内胎児発育遅延・ 無脳児妊娠

● エストロン(E1 : estrone)
エストロンの1日産生量の約70%はアンドロステンジオンからの代謝産物である。男子は睾丸 ,副腎で産生され,女子は50%が卵巣から産生される。エストロンは,エストラジオールに比べ,子宮内膜,子宮筋などに対する生物学的活性は弱く,その臨床的意義も明らかではない。 エストロンは,閉経期以後で,副腎由来によりエストラジオールより高値を示すことなどから,個体保存の役割の一部を果たしている可能性が示唆されている。 また肥満,やせ,加齢,妊娠,子宮内膜癌,多嚢胞卵巣症候群(PCO)などにおいて関連性も示唆されている。

 ⇒ ホルモンがつくられる部位と機能

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