Subject   : アデノウイルス

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 アデノウイルス
アデノウイルスは夏風邪のウイルスとして知られていますが、いろいろな病気を引き起すウイルスです。このアデノウイルスによって引き起こされる病気のうち、子どもの場合に最も多いのは咽頭結膜熱といわれるものです。この病気は幼児期の子どもに多く、咽頭<のど>が赤くなって痛くなり咽頭扁桃炎となって高い熱が出て、眼も赤く腫れる結膜炎などもおこすものです。別名プール熱ともいわれています。(アデノウィルスの3,4型)
アデノウィルス7型の場合、子供の頃に罹っていない大人に対しても、激しい喉の痛みと発熱のみが強く、あまり咳を伴なわない夏風邪として時々流行します。

 咽頭結膜熱以外にもいろいろな症状を出す場合があります。これはアデノウイルスの中にいろいろな種類があるからです。例えば、いままでお話した咽頭<のど>や目に炎症を起こすほかに、肺炎を起こす場合もありますし、胃腸炎をおこしたり、ときには髄膜炎をおこしたりすることもあります。  このように一口にアデノウイルスによる感染症と言っても多くの病気があり、症状も多彩です。

 ではもしもアデノウイルスに感染したらどうしたらよいでしょうか。アデノウイルスの感染に対して特効薬はありません。 (病原体がウィルスですので抗生物質は無効です。)
従って、それぞれの症状に対する対症療法しかありません。つまり、発熱していたら氷枕や氷のうを当てる手当てをしましょう。咽頭<のど>の症状が強いときは小児科医の診察を受けましょう。 粘膜の痛みや荒れ等に対する症状を緩和する薬が処方されますが、安静にして休む事が一番です。ヨード系の茶色いウガイ薬での殺菌が予防にも治療にも一応有効です。
また、眼の症状が強ければ眼科医の診察も受けるとよいでしょう。それぞれの病気で二次感染、つまりウイルスによって起こった炎症の部分における細菌の増え具合によっては抗生物質が必要な場合もあります。いづれにしろ、早目の診察をうけましょう。

 尚、予防として一般的な消毒薬の逆性石鹸やイソプロパノールは無効ですから過信しないで下さい。また罹患中は学校伝染病第2類に指定されていますので登校禁止となっています。

アデノウイルスは二重鎖直鎖状DNAウイルスで、カプシドは直径約80nmの正20面体の球形粒子をしており、エンベロープは持たない。また、アデノウイルスは、ライノウイルス等とともに、「風邪症候群」を起こす主要病原ウイルスの一つと考えられている。
人に感染するアデノウイルスは現在49種類(分類によっては51種類)が知られており、A〜Fの6群に分類され、それぞれのウイルスに番号が付けられている。どの種類がどんな病気を起こすのか、ある程度判明している。
多くのアデノウイルスは、潜伏期は5〜7日で、感染経路は便、飛沫、直接接触による。感染した場合、アデノウイルスは扁桃腺やリンパ節の中で増殖する(アデノとは扁桃腺やリンパ節を意味する言葉)。免疫がつきにくく、また、亜種多様の為、何回もかかる場合がある。特に7型は重症の肺炎を起こす。 8型は、流行性角結膜炎(EKC)、11型は出血性膀胱炎を起こす。
 ⇒  ウイルス

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