Subject   : 超新星爆発と中性子星

カテゴリー  : 宇宙科学 


 超新星爆発と中性子星
 軽い星の場合と同じように、太陽の8倍程度よりも重い星も中心部で核融合反応に使われる水素がなくなりヘリウムの中心核ができると、その周りで水素の核融合反応が進み、星全体がふくらんでいきます。軽い星が進化してできる赤色巨星よりも大きくて明るいので、赤色超巨星と呼ばれます。赤色超巨星の中心部ではヘリウムから炭素や酸素、さらにはケイ素や鉄が作られる核融合反応が進みますが、鉄はそれ以上核融合反応を起こさないので、そこで反応は止まってしまいます。反応が止まってエネルギーを作れなくなった鉄の中心核は次第に縮むとともに温度が上がり、およそ100億度になると一気につぶれます。中心部がつぶれるために星全体が中心部に向かって急激に縮み、中心部で跳ね返ってきた衝撃波が星全体を吹き飛ばします。これが超新星爆発です。超新星は普通の星の1,000億倍以上明るく輝き、1つの超新星の明るさはその星が属する銀河全体の明るさを上回るほどです。

 爆発した星の外層部分は宇宙空間に飛び散り、超新星残骸となって広がっていきます。一方、中心部は超高温超高密度の星、中性子星として残ります。中性子星は太陽ほどの重さがありますが、その半径は10kmほどととても小さな星です。軽い星の一生の最後に残される白色矮星の密度は1cm3あたり10t程度でしたが、中性子星の場合は同じ体積でその100万〜1000万倍も重いのです。中性子星は非常に高速で自転していて、規則正しい電波を出すパルサーとして観測されることがあります。たとえば1054年に爆発した超新星のなごりであるおうし座のかにパルサーは、1秒間に30回転という高速で自転しています。

 ○ 超新星残骸
超新星爆発が起きると、星を作っていたガスは宇宙空間に飛び散っていきます。これは超新星残骸と呼ばれ、1054年に出現した超新星の残骸であるおうし座のかに星雲が有名です。かに星雲は出現から約1,000年経った超新星残骸ですが、現在の大きさは10光年に達しています。かに星雲がふくらんでいく速度をこれらの数字から単純に見積もると、秒速3,000kmとなります。超新星残骸はこのように速い速度で広がっていき、数万年程度で周囲の星間ガスと同化していくと考えられています。はくちょう座の網状星雲やオリオン座のバーナードループなどは、超新星残骸の一部が広がって網やひものように見えているもので、星間ガスにとけこんでいく一歩手前の姿といえるでしょう。これらは爆発から長い時間が経っているため、直径が100〜300光年にまで広がっています。
超新星残骸は可視光だけでなく、X線や電波などさまざまな電磁波を出しています。星間物質に吸収されにくい電波を使った観測では、可視光で見えない超新星残骸が数多く見つかっています。私たちの銀河系の中心部には非常に大量の星間物質が集まっていて超新星爆発を起こすような星も活発に作られているのですが、この領域を電波で観測するとたしかに数多くの超新星残骸が見つかります。これらの超新星残骸の大きさや広がり方を調べることで、銀河系中心部でこれまでにどのような星形成が起きてきたのかを知ることができます。
 ⇒ 星の一生

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