Subject   : 抗がん性抗生物質(抗がん剤)

カテゴリー  : 学術情報 


 抗がん性抗生物質(抗がん剤) 
 抗腫瘍性抗生物質とも呼ばれています。土壌に含まれるカビなどから作られたもので、がん細胞の細胞膜を破壊したり、DNAまたはRNAの複製・合成を阻害します。

よく用いられている抗がん性抗生物質には肺がんや胃がん、悪性リンパ腫、大腸がん、肝臓がん、膵臓がんなどの治療薬ドキソルビジン、急性白血病、悪性リンパ腫、卵巣がんなどの治療薬のエピルビシン、皮膚がん、甲状腺がんに用いられるブレオマイシンなどがあります。 抗腫瘍効果が高いと同時に、骨髄抑制などの副作用が強く現れやすいことも知られています。

種類 メモ
アクチノマイシンD
(コスメゲン)
ウイルムス腫瘍、ユーイング肉腫、横紋筋肉腫など小児の固形がんの治療に欠かせない抗がん剤です。ほかに絨毛がん、骨髄腫、精巣腫瘍などにも使われています。
アクラルビシン
(アクラシノン)
日本で開発されたアントラサイクリン系の抗がん性抗生物質で、ドキソルビシンの難点であった心臓への副作用を軽減する目的で開発されました。
アムルビシン
(カルセド)
小細胞肺がん、非小細胞肺がんの治療に用いられます。小細胞肺がんへの単独投与で奏効率約75%という臨床試験結果があります。
イダルビシン
(イダマイシン)
適応となるのは急性骨髄性白血病、または慢性骨髄性白血病が急性転化した症例で、一般にシタラビンと併用で寛解導入療法を行います。
エピルビシン
(エピルビシン塩酸塩、ファモルビシン)
アントラサイクリン系の抗生物質として、ドキソルビシンよりも心臓障害の軽い薬を目指して開発された抗がん剤です。
ジノスタチンスチマラマー
(スマンクス)
日本で開発された抗がん剤で、冠動脈塞栓療法などの局所化学療法のために使用されます。DNAを切断することによりDNAの合成を抑制し、がん細胞の増殖を阻止します。
ダウノルビシン
(ダウノマイシン)
この薬は、DNAの螺旋構造に入り込み、DNAの合成を阻害するとともに、酵素の作用を妨げることによりDNAを切断します。
ドキソルビシン
(アドリアシン)
最も代表的な抗がん性抗生物質のひとつで、抗がん剤全体を代表する薬の一つです。がん細胞のDNA合成を妨げるほか、DNAを切断してがん細胞を殺します。
ピラルビシン
(ピノルビン、テラルビシン)
アントラサイクリン系の抗がん性抗生物質で、がん細胞に取り込まれて、細胞分裂を途中で止めることで、がん細胞を死滅させると考えられています。
ブレオマイシン
(ブレオ)
がん細胞の中で鉄と結びついて酸素を活性化させ、それによってDNA鎖を切断してがん細胞の増殖を抑制します。骨髄抑制が、あまり起こらないのが特徴です。
ペプロマイシン
(ペプレオ)
骨髄抑制が少ないというブレオマイシンの長所を受け継ぎながら、欠点である肺への毒性を軽減した薬として開発されました。
マイトマイシンC
(マイトマイシン)
マイトマイシンAから発展した抗がん性抗生物質で、DNAの分裂阻止や、活性酸素によるDNA鎖切断などによってDNAの複製を阻害し、抗がん作用を発揮します。
ミトキサントロン
(ノバントロン)
ドキソルビシンに似た抗がん剤として開発されました。DNAの螺旋構造に入り込んでその合成を阻害するとともに、トポイソメラーゼUの働きを抑制してがん細胞を死滅させます。
リポソーマルドキソルビシン
(ドキシル)
2009年4月に「再発した卵巣がん」を追加適応として承認されました。リポソームと呼ばれる超微小カプセルの中にドキソルビシンを閉じ込めた作りになっており、がん組織内での作用時間が長く、主要な副作用も軽減されました。

 ⇒ がんの撃退方法

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