Subject   : 口の中の構造

カテゴリー  : 学術情報 > 生化学 


 口の中の構造
口は消化器と呼吸器の入り口です。口の内側は粘膜で覆われています。健康な人の粘膜(口腔粘膜)は赤味がかったピンク色をしています。歯ぐき(歯肉)は薄いピンク色で、歯の周囲をぴったりと取り巻いています。
口の天井部分(口蓋[こうがい])は、口蓋突起がある硬い前方部分(硬口蓋)と、比較的なめらかで軟らかい後方部分(軟口蓋)に分けられます。唇は湿った部分と乾燥している部分にはっきりと分かれていて、その境界部分は唇紅部と呼ばれます。口の内側の唇面は湿っていて、口の外側の唇面は皮膚と同じように乾いています。

口の床にあたる部分(口底)には、食べものの味を感知したり、食べものを混ぜ合わせる役目の舌があります。正常な舌はざらついています。これは舌の表面にたくさんの小さな突起(柔突起)があるためで、この部分には食べものの味を感知する味蕾(みらい)があります。味覚では、甘味、酸味、塩味、苦味の大きく4種類の味が識別されます。一方、においは鼻腔の嗅受容器(きゅうじゅようき)によって感知されます。嗅覚(きゅうかく)のしくみは味覚よりもずっと複雑で、さまざまな微妙なにおいが識別されます。味覚と嗅覚が一緒に働くことによって、人は味がわかり、その味を楽しむことができるのです。

食べものは前歯でかみ切られ、奥歯でかまれて、より消化されやすい粒子になります。消化酵素を含む唾液が唾液腺から分泌されてこの粒子状の食べものを包みこみ、分解しはじめます。唾液は、食事をしていない間に、むし歯(う蝕)などの病気の原因となる細菌を洗い流します。
口を開けて「アー」と声を出すと、口蓋垂と呼ばれる細い筋肉質の突起が、口の奥にぶら下がっているのが見えます。口蓋垂は、口の奥と鼻腔との境目にあたる軟口蓋の後端からぶら下がっています。正常な人では口蓋垂は縦にぶら下がっています。この部位には迷走神経(第10脳神経)が走っています。

 ○ 唾液腺
唾液(だえき)を分泌する唾液腺は、耳下腺、顎下腺、舌下腺の3対の大唾液腺に分かれます。さらに大唾液腺のほかにも、多数の小さな小唾液腺が口中に分布しています。唾液は唾液腺の小さな管を通って、口の内へ分泌されます。
唾液には、食べものをかんで食べるのを助けるさまざまな働きがあります。唾液は、食べものが口から食道へ下りやすいようにかたまりにまとめてかみやすく、食べやすくして、食べものの消化を開始します。食べものを溶かして味わいやすくしたり、食後の口の内をきれいに浄化する働きもあります。また、唾液は口腔粘膜を保護し、歯のミネラル分の消失を防いでいます。さらに唾液は細菌が出す酸を中和するだけでなく、抗体や酵素など、細菌、酵母、ウイルスを殺すさまざまな物質を含んでいます。
 ⇒ のど(咽喉)と扁桃(へんとう)

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