Subject   : イオンチャネル

カテゴリー  : 学術情報 > 生化学


 イオンチャネル
 細胞膜を貫通しているチャネル(channel)蛋白質が開いて、濃度の高い側から低い側に無機イオンが移動する(開閉ドアに似ている)。  この際、ATPなどのエネルギーは、必要としない(受動輸送)。
 イオンチャネル蛋白質には、リガンド依存性のものと、電位依存性チャネルの2種類が存在する。
 ATPチャネルは、細胞内ATPが豊富にあると閉鎖していて、虚血、低血糖、低酸素の状態で、細胞内ATPが欠乏すると開く。  膵臓のβ細胞に存在するATP感受性K+チャネルは、血糖が上昇して、β細胞内のATP濃度が上昇すると閉鎖して、インスリン分泌が起きる。  アデノシンは、ATP感受性K+チャネルを開く(ATP利用が減少すると言う)。

■ リガンド依存性チャネル
筋細胞のアセチルコリン受容体
 チャネル蛋白質(ニコチン様アセチルコリン受容体)に、リガンドとして、アセチルコリンが結合すると、チャネル蛋白質が開いて、Na+イオンが細胞外から細胞内に移動し、K+が細胞内から細胞外に移動する。

■ 電位依存性チャネル
 電位依存性チャネルには、Na+チャネルの他、K+チャネル、Ca2+チャネルが存在する。

 ○ Na+チャネル
 神経線維(神経細胞の軸索)で、脱分極が起きる(細胞膜の外側の電位が陽性だったのが、陰性化する)と、チャネル蛋白質が開いて、Na+イオンが細胞外から細胞内に移動する。

 ○ 電位依存性Ca2+チャネル
 電位依存性Ca2+チャネル(電位依存性カルシウムチャネル:VDC、Voltage-dependent calcium channels:VDCC)は、細胞内外の電位差により、細胞内にCa2+(カルシウムイオン)を流入させる。  電位依存性Ca2+チャネルは、細胞内Ca2+濃度を調節する。
 電位依存性Ca2+チャネルは、α1、α2、β、γ、δの5種のサブユニットから構成されている。  Ca2+(カルシウムイオン)は、サブユニットの内、主に、α1サブユニットを経て、細胞外から細胞内へ、流入する。  電位依存性Ca2+チャネルは、α1サブユニットの構造の違いから、チャネルのコンダクタンス(conductance:伝導率)、イオン選択性、活性化・不活性化反応の時間、薬物(抗不整脈薬など)に対する特異性が、異なる。
 VDCCは、電気生理学的性質の相違から、大きな脱分極によって活性化されるL型、N型、P/Q型と、中程度の脱分極によって活性化されるR型、小さな脱分極によって活性化されるT型の5種類に分類される。  L型VDCCは、主に腎糸球体の輸入細動脈に分布している。  T型VDCCは、腎糸球体の輸入細動脈や輸出細動脈に分布していて、細動脈を拡張させる。  L型VDCCやT型VDCCに拮抗する薬剤(Ca拮抗薬)は、腎糸球体の輸入細動脈収縮の自動調節機能(筋原反応)を抑制し、糸球体高血圧を悪化させるおそれがある。
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