Subject   : アクチンフィラメント(微小繊維)

カテゴリー  : 学術情報 > 生化学


 アクチンフィラメント(actin filament)
 微小繊維は、球状タンパク質であるアクチン分子(G−アクチン)が連なってできた繊維(F−アクチン)が2本、撚り合わさった形をしている。  アクチン分子は、375個のアミノ酸からなる1本のポリペプチドである)。 帯が巻いたようになっている部分はαヘリックス構造、矢印部分はβシート構造をあらわす。真ん中の深い切れ込みの左右で、分子は2つのドメインにわかれる。アクチン分子はこの切れ込みに1個のATPを抱え込んで強く結合している  会合はプラスエンドと書いてある端で強くおこり、反対のマイナスエ ンドではほとんどおこらない。このダイナミックな会合と解離には、ATPとその加水分解によるADPへの変換が関与している。  モノマーではATPと結合して会合しやすくなり、ポリマーになるとATPはADPに加水分解され解離しやすくなる。ただしフィラメントの途中では解離できない。解離するとADPは切れ込みから解放され、ATPと置き換わり、再び会合できるようになる。  このようなダイナミックな解離と会合が細胞表層の微小繊維の束でおこっているために、細胞が小突起を出したり引っ込めたりすることができるのである)。  アクチンの会合を阻害する物質に、菌の一種から単離されたサイトカラシンがあり、これを使って細胞運動の研究が行われている。サイトカラシンによって影響を受ける細胞運動には、次のようなものがある。

分類 メモ
収縮環による細胞質分裂 阻害によって核分裂はおこるが細胞質がくびれない
卵割の進行
初期発生でおこる原腸陥入
神経の軸索の成長
白血球の食作用

アクチンと結合することができるタンパク質がたくさんある。これらのタンパク質によって微小繊維はお互いに結合しあったり、細胞膜と結合したり、向き合って滑り込んだりすることができる。微小繊維に結合できるタンパク質で重要なのは、ミオシンである。 ミオシンはアクチン上をATPのエネルギーを使って動いていくモータータンパク質である。
 ⇒ 細胞骨格
 ⇒ 筋組織と筋線維

[メニューへ戻る]  [HOMEへ戻る]  [前のページに戻る]