Subject   : 人間の耳

カテゴリー  : 学術情報 > 生化学 


 人間の耳
 外観として目立つ耳介を俗に耳と呼ぶ場合も少なくないが、聴覚機能の中心は中耳にあり、外耳から内耳までの全体が耳である。
外耳より空気の振動エネルギーとして体の中に進入し、鼓膜により固体の振動エネルギーへと変換され、中耳内の耳小骨を伝わり、蝸牛へと到達する。蝸牛に到達した振動エネルギーは、蝸牛にある有毛細胞を興奮させ、その興奮は後迷路を伝わり、大脳へ達し、音として人間に検知される。
  • 外耳
  • 耳介
  • 外耳道
  • 中耳
  • 鼓膜
  • 耳小骨
  • 内耳
  • 蝸牛(かぎゅう): 内耳にあるカタツムリのような渦巻き形の感覚器官。鼓膜から耳小骨を通じて伝えられた振動を電気信号に変換し蝸牛神経を通じて中枢に送る。周波数分析の機能もかねる。感覚機能はコルチ器(Corti organ)にある有毛細胞に由来する。
  • 三半規管 : 内耳の前庭につながっている、半円形をしたチューブ状の3つの「半規管」の総称
  • 後迷路

鼓膜(こまく)は中耳と外耳の境目にある、直径8~9mm、厚さ0.1mmの膜で、耳小骨に音を伝える。外耳側から順に、皮膚層、固有層、粘膜層の3層からなる。鼓膜も、皮膚と同じく再生することが可能である。
慢性中耳炎では一般に鼓膜の穿孔が起こる。
また、鼓膜が中耳側に陥入して嚢胞を形成し、内部で上皮が増殖して真珠種を生じることがあり、これを真珠腫性中耳炎と呼ぶ。真珠種は進行すると、耳小骨を融解させて難聴を引き起したり、顔面神経を障害したりすることがある。

● 三半規管
3つの半規管、すなわち「前半規管」「後半規管」「外半規管(外側半規管、水平半規管とも)」は、それぞれがおよそ90度の角度で傾いており、X軸・Y軸・Z軸のように三次元的なあらゆる回転運動を感知することができる。
内部はリンパ液で満たされており、片方の付け根は膨大部となり有毛細胞(感覚細胞)がある。また、その感覚毛はクプラ(膨大部頂)で結束されている。頭部が回転すると、体内にある三半規管も回転するが、内部の液体であるリンパ液は慣性によって取り残されるため、相対的には「三半規管の内部をリンパ液が流れる」ことになる。そのようにリンパ液が流れるとクプラも動き、それに付随した有毛細胞が刺激されることで、前庭神経から脳に刺激が送られ、体(頭部)の回転が感知できるしくみである。
なお、回転が続くとリンパ液も一緒に回転してしまうので、体の回転が止まっても今度はリンパ液の回転がすぐには止まらず、誤った信号を脳へ送ることになる。
また、水中では、耳孔内に冷たい海水が流れ込んでくるため、リンパ液の粘性が高まり、回転覚などが掴みにくくなる。パニックに陥ったときに上下がわからなくなって水面に出るのが困難になる理由の一つであるという。

 ⇒ 感覚器系

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