Subject  : 深部低周波微動

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 深部低周波微動
 通常、地震波はP波で始まりS波が後続し、P波とS波がペアとなる特徴的なパターンを示します。火山直下の深い箇所ではP波とS波がペアとなっていない地震波らしくない微動が発生することが以前より知られていました。また、火山帯でないところでこのような微動が観測されていても自然現象であるか人工的なノイズであるか確認することができずにノイズとして見逃されていました。ところが、高感度地震観測網が整備されたことによって、微動が局地的・限定的な現象ではないことが発見されました。この微動を深部低周波微動と呼びます。

 深部低周波地震に伴ってスロー地震が起こっていること、大地震の地震波が通過することによりその地域の深部低周波微動が活発化することがあること、2006年1月には、紀伊半島の奈良・三重県境の深部で、微動(=深部低周波微動)とゆっくりすべり(=ゆっくり地震)が発生し、次第に北東方向に移動して数十日間で終息したことなど新たな現象が見いだされました。
 西日本ではプレートの沈み込みにより東海地震・東南海地震・南海地震という巨大地震が歴史的に繰り返して発生していますが、この微動の発生域は巨大地震の発生域(アスペリティの領域)の深部延長部分、30kmから35km付近に位置しています。巨大地震発生域、スロー地震発生域、深部低周波微動発生域の順に深くなっていることは、プート境界面の状態を反映した結果と考えられています。

 深部低周波微動は九州と四国を境する豊後水道から東海地方にかけて帯状に分布していますが、四国東部から紀伊水道を境にして、東西に2分しているような分布形状を示しています。  深部低周波微動分布形状は西南日本の地質構造線によって形成されている帯状構造と概略的に一致しており、日本列島の形成と変動に係わる現象の一端を示していると思われます。
 ⇒ 緊急地震速報を見聞きしたときの心得

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