Subject  : インフォームド・コンセント(IC)

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 インフォームド・コンセント(IC)
医師が患者に対して、受ける治療内容の方法や意味、効果、危険性、その後の予想や治療にかかる費用などについて、十分にかつ、分かりやすく説明をし、そのうえで治療の同意を得ることをいいます。 ここ10年ほど医療界を中心に盛んにいわれていることですが、この考え方には、もともと2つの来歴があります。
一つは、医療過誤裁判で医師に説明義務があることを認めさせるための法廷戦術上の概念であったもの。 もう一つは、人体実験における被験者の同意のとりつけの場での考え方です。この場合は、事前に実験の目的や危険性などが十分説明され、被験者が自発的に同意するというものでした。 1970年代のアメリカの医療思想は、この概念を医師=患者関係の基本に置こうと考えて急速に広まっていきました。しかし、その背景には、訴訟に対する医師の自己防衛が働いていたという事情もあります

一般的には、治療を受ける本人(や家族)が、口頭(必要に応じて文書を併用)にて治療方針の通知・説明を受ける、という方法が採られる。要する時間は状況により大きく異なるが、短い場合で数分、長い場合には数十分やそれ以上の時間が当てられる。
医療従事者側は、病名、病状、予後等の説明に際して、科学的に正確に伝えることも大事だが、患者が真に納得して受け入れるためには、患者の心情や価値観、理解力に配慮した説明が必要である。専門用語の乱用は望ましくない。
本人と家族の希望が食い違うことは稀ではないが、ICの原則では患者本人の意思が、配偶者や親、その他の家族の意思よりも優先される。しかし闘病には家族の理解と支えも欠かせないものなので、ある程度重要な問題に関しては、可能な限り家族のICも必要である

選択可能な方針が複数ある場合(たとえばある種の癌で手術と化学療法の予後に大差がないと考えられる場合)、患者が主体的に複数の方針からひとつを選択するよう促されることがある。このように患者が方針の選択まで行うことを特にインフォームド・チョイス (informed choice) またはインフォームド・デジジョン (informed decision) と呼び区別することもある。 患者側は「十分な説明を受け理解した上で、同意します/拒否します」という、書面での明確な意思表示を求められる。必ず書面で合意を得るべきという法的根拠はないが、一般的には重要な問題に関しては、ほぼ全例で書面による意思確認がなされる。このような手続きをふまえて同意が成立した場合、患者は自己が選んだ方針とその結果に対して、責任を持つことになる。

 ◆ 患者側の注意点
  • 理解力のある家族と一緒に説明を聞く。理解できるまで説明を求める。 プ
  • ライバシーや情報伝達に関わるトラブルを防ぐためには、説明を受ける家族は固定され、あまり多くなりすぎないことが望ましい。患者にとっての「キーパーソン」が誰なのか、あらかじめ指定させられることがある。
  • 正確な診断名・病期などを聞き、書面による説明を受ける。
  • その疾患がどんな疾患なのかの説明を受ける。
  • どんな治療法があるのか、各治療法ごとの利点・欠点を聞く。
  • 治療をしない場合の経過を聞く。場合によっては無治療(経過観察)が最善の方針である場合もある。
  • その病院での当該疾患の治療経験や成績について尋ねる。
  • その疾患に対する他の治療施設の有無を尋ねる。

 ● SDM (shared decision making)
近年SDM (shared decision making) という概念が提唱されている。これはICよりも患者の自己決定権をより強化するという考え方である。ICの場合はあくまで医師が説明し、患者の同意、納得を得られたら処置をするという考え方である。その場合、医師が何をベストと考え説明するかという決定をするというプロセスが介在する。悪く言えば、医師が勝手にこれがベストだと決め付けて患者を誘導するという方法も取れる余地があった。SDMの場合は選択肢を具体的にあげ、それぞれの選択肢の違いを説明し、患者に選ばせるという方法をとり、医師の先入観を排除しようという考え方である。もちろんICの範囲内でも多くの医師がSDMのようなことはしてきたわけだが、SDMで治療方針を決定する施設が増加傾向にある。
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