Subject   : 隕石(meteorite)

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 隕石(meteorite)
 大気を通過して地球表面に到達した地球外固体物質の総称。石質隕石、石鉄質隕石、隕鉄に3大別される。

 石質隕石は球粒(コンドリュール)を含むか含まないかでコンドライトとエコンドライトに分けられる。隕石の8割以上がコンドライトである。小惑星か彗星の破片と考えられるが、中には月や火星の一部が隕石衝突で宇宙空間に放出されて地球に飛来したものも含まれると言われている。宇宙空間の物質や環境を直接分析計測できる貴重なサンプルである。以下のような分類がなされ、CI、CM、CO等の略号で示される一つの母天体から来たグループに分けられている。コンドライトは太陽の化学組成に近い未分化の隕石と考えられ、エコンドライトはコンドライトが火成作用で分化したものと考えられている。
 石鉄隕石は珪酸塩と鉄・ニッケルが半分づつ混ざり、鉄隕石は鉄とニッケルから成り、惑星の核に対比されて考えられることが多い。このような隕石の化学組成の違いは元素の揮発性に依存する。高温の原始太陽系のガスが徐冷するとき、不揮発物質なら固体化しても、揮発性の高い元素はガス状態のままで分離され、凝縮していったと考えられている。

 太陽系には惑星-衛星系のような巨大な固体天体の他に、数百キロメートルからマイクロメートル単位までのいろいろな小惑星等微小天体が存在する。直径200km以上の小惑星は35個あり、他はみな小さい。又、104天文単位より遠い所にあるオールト雲やそれより近いカイパー・ベルトを故郷として、惑星系に引き寄せられる彗星もある。彗星は10km以下の大きさのものが大部分と考えられている。

 小惑星や彗星が大気圏に入って地表に衝突するまで燃え残った時、大きな物体では隕石孔をつくる。小さな微小天体ほど数も多いので隕石になる確率は高く、大きなものは確率が低い。直径が数10m程度のものでは、通常、大気中で爆発して破片になって飛散するため隕石孔をつくらないことが多い。隕石孔ができるのは、概ね100m以上の直径をもつ天体の場合で、 2km程度以上の隕石孔をつくる。従って、「1kmより小さな隕石孔」は考えにくい。 100m程度の微小天体でも2kmの隕石孔と10km以上に広がる破片飛散範囲をもち、その爆発エネルギーは100メガトン核爆弾なみになる。もし都市域に落下するときは、大変な災害をもたらす。 6500万年前にユカタン半島北部に落下した直径10km程度と想定される隕石は、恐竜を滅ぼした原因とも考えられており、破壊力も巨大である。

 地球上の隕石孔はこれまでに120以上が陸域で確認されているが、大部分は侵食で痕跡すら消えてしまったか海中に隠れているものと考えられている。代表的なものに米国のバリンジャー・クレータやマンソン・クレータ等があり、おわん型で縁が盛り上がった円に近い形状を示している。

 近年、隕石孔を衛星リモートセンシングで観測することが盛んになっている。特に、合成開口レーダは地形起伏によるコントラストが強く、雲を透過して地表が見えるため、熱帯地域だけでなく、乾燥地域や寒帯地域でも隕石孔の発見に貢献できると期待されている。

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 ⇒ 活断層(active fault)

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