Subject   : 褶曲(fold)

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 褶曲(fold)
 層状の地層が波状に変形した形態をいう。地層内部の各部位が連続的で不可逆的で一様でない変位を受けることによって生じる。層位的な上下関係を考慮しなければ、上側に凸な形態をアンチフォーム、下側に凸な形態をシンフォームという。背斜は層位的に上位に向かって凸な場合で、向斜は下位に向かって凸な場合をいう。褶曲面上の湾曲部の曲率が最大の点を結んだ線をそれぞれ背斜軸、向斜軸という。

 褶曲はさまざまな基準により、数多くの分類がなされている。例えば、分類の基準が形態に基づくものでは平行褶曲や相似褶曲、運動様式(形成機構)に基づくものでは流動褶曲や剪断褶曲、力学的観点に基づくものでは曲げ褶曲や座屈褶曲等に分類される。

 資源探査の分野では、背斜が集油構造(トラップ)のひとつとして従来から重要視されている。鉱物資源の分野でも、層状の銅鉱床等層準規制型の鉱床は、過褶曲等により鉱量の飛躍的な増加が期待できるため、重要な探査指針となる。

 衛星画像上では地層の境界の判読により直接、褶曲構造を抽出したり、水系パターンを識別することにより、間接的に褶曲構造の形態を把握することができる。

 ○ 地質構造 (geological structure)
 ある地域の地層が圧縮や引張の応力条件の基で、さまざまに変形した形態をいう。

 一般に、褶曲や断層等露頭ないしはサンプル規模の地質構造を小構造ないしは中構造、顕微鏡規模のものを微構造、地塁や地溝等は大構造と呼ばれ区別されている。

 ある地域の地質構造の認定と形成機構の解明は、その地域の構造発達史や資源の形成過程の解明にも関わる重要なデータを提供してくれる。石油探査の分野では通常褶曲・断裂・不整合、鉱物資源探査の分野では断裂・ドーム・陥没等の地質構造の識別・抽出が重要となる。

 探査の概査段階において、リモートセンシング技術を利用して、地質構造の解析や衛星地質図を作成することが一般的になってきている。衛星画像は航空写真等と比べ、超広域的な地質構造を一望できる点で大構造の抽出に適している。画像解析では水系パターンやリニアメント(線状構造)等に留意しながら地質構造を判読する。
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