Subject : 肺胞低換気症候群(指定難病230)
カテゴリー: 健康・医療情報 >
肺胞低換気症候群(指定難病230)
-
睡眠関連低換気障害(sleep related hypoventilation disorders)には以下の6病態が含まれる。@肥満低換気症候群、A先天性中枢性低換気症候群(Congenital central hypoventilation syndrome: CCHS)、B視床下部機能障害を伴う遅発性中枢性低換気、C特発性中枢性肺胞低換気症候群、D薬剤や物質による睡眠関連低換気、E身体障害による睡眠関連低換気。これらの中で、B、D、Eを除外し、@肥満低換気症候群の一部(覚醒時の肺胞低換気がCPAPによる治療でも改善しない場合をいう。)、ACCHS、およびC特発性中枢性肺胞低換気症候群については、肺胞低換気の主たる病態として呼吸調節系の異常が強く疑われる場合を肺胞低換気症候群(alveolar hypoventilation syndrome:AHS)とする。肥満低換気症候群における覚醒時の肺胞低換気は肥満の存在とは関係しない。肺胞低換気は様々な病態で起こり得るので、二次性肺胞低換気症候群の鑑別をして、AHSの診断をする。難治性稀少性疾患であり、発症機序は不明であるが、呼吸中枢機能異常に関係した睡眠関連低換気(覚醒から睡眠になると呼吸障害が生じる。)、呼吸調節異常(無意識では生理学的に正常な呼吸状態を維持できない。)が病態の主体である。AHSは、呼吸器・胸郭・肺機能上に明らかな異常がない、または軽度の異常があってもAHSの主たる原因とは考えられない。すなわち、呼吸調節上の異常が主たる病態で睡眠時に肺胞低換気(高二酸化炭素血症と低酸素血症)を呈する病態である。肺胞低換気は覚醒中よりも睡眠中に悪化する。
- 【原因】
-
原因として、呼吸の自動調節(化学、代謝、行動性呼吸調節)系の異常、睡眠/覚醒機構の障害が主たるものと考えられている。先天性中枢性低換気症候群(CCHS)ではPHOX2B遺伝子変異が病態に関与する。PHOX2Bは染色体4p12に位置するPHOX2B遺伝子異常が病因である。PHOX2B変異の約90%はexon3にある20ポリアラニン鎖における4-13アラニンの伸長変異(polyalanine repeat expansion mutation: PARM)であり、伸長変異数によって24PARM(正常の20ポリアラニン鎖に4アラニンの伸長変異が加わったもの)から33PARMに分類されている。残り約10%はミスセンス、ナンセンス、フレームシフト変異などの非アラニン伸長変異(Non PARM)を認める。CCHSのほとんどはde novo変異であるが、一部はモザイクの親または軽症例の親からの遺伝例があり常染色体優性遺伝の形式をとる。
- 【症状】
-
睡眠時の低換気が病態の主体であるが、覚醒時にも睡眠低換気の影響が及ぶ。日中の覚醒障害/眠気(過眠)、睡眠時低換気に伴う不眠傾向や中途覚醒などの睡眠障害などが現れることがある。CCHSでは自律神経機能異常による諸症状(巨大結腸症、神経堤細胞由来の神経芽細胞種、不整脈、食道蠕動異常、体温調節障害、発汗異常などの多くの自律神経異常による合併症)が出現することがある。呼吸管理が不十分であるため、または神経系の合併症として、CCHSの小児では発達遅滞を呈する症例も少なくない。成長・罹病期間により日中活動性低下に伴う諸症状が進行し、右心不全の徴候(呼吸困難、全身の浮腫など)が出現することもある。
- 【治療法】
-
難治性稀少性疾患であり、根治的治療法は確立されていない。CCHSの低換気は有効な治療法がなく、成長によっても改善しない永続性のものである。そのため、適切な呼吸管理により低換気の悪化をできる限り避け、全身臓器への影響を最小限にすることが、患児のquality of lifeや予後改善において最も重要である。新生児期、乳児期発見のCCHSでは、早期から気管切開下での呼吸管理を行うことが推奨される。一部の患者では、24時間人工呼吸から夜間睡眠時のみ、あるいは成長に伴いマスク換気に移行できる場合もある。
低酸素血症に対しては酸素投与されることがあるが、炭酸ガスナルコーシスに注意が必要である。呼吸器
感染症、麻酔時、鎮静剤投与により、肺胞低換気が急激に進行して、呼吸不全の増悪を誘導することがあり、注意が必要である。CCHSに対する治療としては、気管切開ないしはマスクによる人工呼吸管理、酸素投与、横隔膜ペーシングなどが行われる。
成人の肺胞低換気症候群では、非侵襲的陽圧換気(noninvasive positive pressure ventilation: NPPV)療法がほとんどの例で有効であるが、根治的治療法でなく対症療法である。特発性中枢性肺胞低換気症候群、CCHS以外の病態で、睡眠呼吸障害の主体が睡眠時無呼吸であり、かつ持続陽圧(continuous positive airway pressure: CPAP)療法で病態が改善される(PaCO2が50 mmHg未満になる)場合はAHSには含めない。重症例では、気管切開による呼吸管理/人工呼吸療法が必要になる。外国では横隔神経ペーシングが行われることがあるが、日本ではまれである。
<出典:難病情報センター>
⇒
指定難病一覧
[メニューへ戻る]
[カテゴリー一覧]
[HOMEへ戻る]
[前のページに戻る]