Subject  : ウルシにかぶれたら

カテゴリー: 健康・医療情報 


 ウルシ科植物による皮膚炎
ウルシ科の植物(ウルシ、ツタウルシ、毒ウルシなど)にはウルシオールという油性成分が含まれ、皮膚がかぶれます。同様の油はウルシ科の他の植物にもみられ、カシューナッツの殻、マンゴー(葉、樹液、果皮)、日本の漆器にも含まれています。これらの油に一度接触して感作されると、その後の接触により接触皮膚炎を起こします。

これらの油は皮膚にはすぐに吸収されますが、衣類や道具類、ペットの毛皮などに付着すると長い間そのまま残留します。植物を燃やして出た煙にもこの油が含まれ、一部の人は反応を起こします。ツタウルシ類に対する過敏性は遺伝する傾向があります。

 【症状】
皮膚炎の症状は原因となる接触があってから8〜48時間後に始まり、激しいかゆみとともに赤い発疹や、大小さまざまな水疱が生じます。水疱は、植物が皮膚に触れた部分をなぞるように線状に生じるのが典型的です。発疹が皮膚のさまざまな部位に時間的に前後して現れることがありますが、これは部位によって過敏性に差があったり、ウルシが付着した衣服などへの接触の仕方が異なるために起こる現象です。水疱の中の液体に触れても他の人にうつることはありません。かゆみと発疹は、2〜3週間続きます。

 【予防と治療】
最も効果的な予防策は、かぶれるおそれのある植物を見分けて接触を避けることです。あらかじめ市販の保護用クリームやローションを使うことで、皮膚に吸収される油の量を最小限に減らせますが、それでもゼロにはなりません。この油はゴム手袋からも浸透してくることがあります。接触後すぐにせっけんと水で皮膚を洗えば、油の吸収を防ぐ効果があります。アセトンやアルコールなどの強力な溶剤を使っても、石けんと水を上回る効果はおそらく得られません。注射や錠剤、あるいはその植物の葉を食べるといった各種の脱感作法には効果がないようです。

治療で症状は和らぎますが、発疹の治りを早めることはできません。最も有効な治療はステロイドの使用です。狭い範囲の発疹は、トリアムシノロンやクロベタゾール、ジフロラゾンなど効き目の強い局所用ステロイドで治療します。ただし、顔と性器周辺は例外で、これらの部位には1%ヒドロコルチゾンのような効力が穏やかなステロイド薬を使います。広範囲に発疹が出ていたり、顔がひどく腫れている場合は、高用量のステロイド内服薬を使用します。大きな水疱ができている部分は、水や酢酸アルミニウムで湿らせた冷湿布をします。かゆみを抑えるには抗ヒスタミン薬の内服も効果があります。抗ヒスタミン薬を含むローションやクリームはほとんど使用されません。
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