Subject  : ビタミン欠乏性貧血(巨赤芽球性貧血)

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 ビタミン欠乏性貧血(巨赤芽球性貧血)
赤血球には、肺から全身の組織に酸素を運ぶタンパク質のヘモグロビンがあります。赤血球数が減少したり、赤血球中のヘモグロビン量が少なくなると、血液は酸素を十分に供給できなくなります。組織に酸素が十分に供給されないと、貧血の症状が現れます。

貧血の原因はさまざまですが、大きく分けると、失血(大量出血)、赤血球の産生不足、赤血球の過剰な破壊の3つに分類できます。

体が十分な量の赤血球をつくれないことも、貧血の原因になります。赤血球の産生には多くの栄養素が必要です。最も重要なものは鉄、ビタミンB12、葉酸ですが、ごく微量のビタミンC、リボフラビン、銅も必要です。また、ホルモンの適切なバランスも必要で、特に赤血球の産生を促進するホルモンであるエリスロポエチンが重要です。これらの栄養素やホルモンがないと、赤血球の産生速度や産生量が低下したり、赤血球が変形して酸素を十分に運べなくなったりします。慢性疾患が赤血球の産生に影響する場合もあります。白血病、リンパ腫、転移癌などでは、骨髄腔に腫瘍細胞が侵入して骨髄に置き換わり、そのため赤血球の産生が低下することがあります。
ビタミン欠乏性貧血は、ビタミンB12や葉酸の不足または欠乏が原因です。 ビタミンB12や葉酸の欠乏は、巨赤芽球性貧血を引き起こします。巨赤芽球性貧血では、大きく異常な赤血球(巨赤芽球)が骨髄でつくられます。 ビタミンB12(ビタミン: ビタミンB12欠乏症を参照)や葉酸(ビタミン: 葉酸欠乏症を参照)の欠乏は、ほとんどの場合、食事中にこれらのビタミン類が不足しているか、または消化管がこれらのビタミン類を吸収できないことが原因で生じます。また、メトトレキサート、ヒドロキシ尿素、フルオロウラシル、シタラビンといった癌の治療に使う薬でも、これらのビタミン類の欠乏が起こることがあります。

 【症状と診断】
ビタミンB12や葉酸の欠乏による貧血の場合も、症状は他の原因による貧血と同様で、ゆっくりと進行します。ビタミンB12の欠乏は神経障害の原因にもなります。

貧血と診断されると、ビタミンB12や葉酸の不足が原因かどうかを調べる検査が行われます。顕微鏡で血液を調べて大きく異常な赤血球(巨赤芽球)がみられれば、ビタミンB12や葉酸の不足による貧血が疑われます。特に巨赤芽球性貧血が長期間にわたる場合は、白血球や血小板にも変化が生じていることがあります。 血液中のビタミンB12や葉酸の値を測定します。また、ビタミン欠乏の原因を調べるために、必要に応じてほかの検査も行います。

 【治療】
ビタミンB12や葉酸の不足による貧血を治療するには、不足しているビタミンを補給します。 一般に、ビタミンB12は注射により投与します。まず、血液中のビタミンB12が正常値になるまで、注射を毎日あるいは毎週の間隔で数週間行い、その後は月に1回の注射を続けます。ビタミンB12はスプレー式点鼻薬、舌下錠、通常の錠剤などで毎日摂ることも可能です。ビタミンB12不足による貧血では通常、生涯にわたりビタミンB12の補給が必要になります。 葉酸は、錠剤を毎日1錠ずつ服用して補給します。葉酸の吸収が悪い人は、生涯にわたり葉酸の補給が必要になります。
 ⇒ 貧血

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