Subject  : 医師の診察

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 医師の診察
医師は普通、病歴と診察に基づいて、患者に心臓や血管の障害があるかどうか診断します。まず、症状について尋ねます。胸痛、息切れ、動悸、脚や足首、足、腹部の腫れやむくみ(浮腫)は心疾患を疑います。発熱、筋力低下、疲労感、食欲不振、寒けや不快感など、他のより一般的にみられる症状で心疾患を疑うこともあります。痛み、しびれ(知覚鈍麻)、脚の筋肉のけいれんは、心臓以外の、腕、脚、胴体の動脈の末梢血管疾患を疑います。

次に、医師は以前かかった感染症、化学物質にさらされた経験、薬の使用、飲酒歴、喫煙歴、自宅や職場の環境、休日の過ごし方などについて尋ねます。また、家族に心疾患や心血管系に影響するその他の障害があるかどうか尋ねます。 診察の間、医師は患者の体重や全身状態を記録し、心疾患を示す可能性のある顔の青白さ、汗、眠気などを調べます。また、心疾患が影響を与える場合がある全体的な気分や感情についても記録します。

 ● 皮膚の観察
皮膚の色が青っぽく変化するチアノーゼは貧血や血流の低下を示すため、皮膚の色の観察は重要です。このような所見は、肺疾患、心不全、さまざまな循環障害などにより血液中から十分な酸素が皮膚に届いていないことを示します。

皮膚の下の組織に体液がたまって浮腫となっていないかどうか、足首や脚、ときには背中の下側を圧迫して調べます

 ● 脈診
首、わきの下、ひじ、手首、腹部、鼠径部(そけいぶ)、膝(ひざ)、足首、脚の動脈の脈を測り、血流が十分かどうか、体の左右が同じ状態になっているかどうかを調べます。血圧や体温も測ります。何か異常があれば、心血管系の障害を疑います。
首の静脈の視診は、上体を45度傾けた状態で行います。この静脈は、体中から酸素を失って戻ってきた血液を受け取る心臓上部の右心房と直接つながっており、心臓の右側に入っていく血液の量と圧力の指標となります。

 ● 胸部の観察
医師は胸部を観察し、呼吸数や胸の動きが正常かどうか調べます。指で胸を軽くたたく打診によって、肺が空気で満たされた正常な状態か、体液がたまった異常な状態か判断します。また、打診は、心臓を包む心膜や肺を覆う2層の胸膜に体液がたまっているかどうかを判断するのにも有用です。聴診器で呼吸音を聞くことで、空気の流れが正常か障害されているか、心不全によって肺に体液がたまっているかどうかを判断できます。
患者の胸に手を置き、拍動を最も強く感じる場所を確かめる触診によって、心臓の大きさやそれぞれの拍動における心収縮の性質や力を判断します。ときに、血管内や心房と心室の間で異常な血流の乱れが生じた場合、指先や手のひらで感じられるような振戦と呼ばれる振動が起こります。
聴診器で心音を聞くと、心臓の弁の開閉によって生じる特有の音が聞こえます。弁や心臓の構造に異常があると血流の乱れが生じ、心雑音と呼ばれる特徴的な音が聞こえます。血流の乱れは主に、狭くなったか、または漏れがある弁を血液が通り抜ける際に生じます。しかし、すべての心疾患で心雑音が生じるわけではなく、すべての心雑音が心疾患を示すわけでもありません。たとえば、妊娠中の女性は血流が増加するため、普通に心雑音が聞かれます。乳児や小児でも害のない心雑音がよく聞こえますが、これは心臓の内部構造が小さく、血流が速いためです。高齢者では、血管壁や弁などの組織が徐々に硬くなるため、重い心疾患がなくても、血流の乱れが生じることがあります。また、異常な弁が開くときにクリック音や開放音が聞こえることもあります。心不全の患者では、1回か2回、余剰な心音が生じるので、馬が疾走するときの音に似た奔馬律(ほんばりつ)がよく聞かれます。
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