Subject  : 下剤

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 下剤
 下剤は、便秘を解消するために使用します。下剤の中には長期間使用しても安全なものもありますが、ときどきしか使えないものもあります。予防に効果がある下剤もありますが、治療にしか使えない下剤もあります。また、下剤は、検査を行う前に腸を空にするためにも用いられます。

● 便軟化剤
ドクセートなどの便軟化剤は、便が蓄える水分の量を増加させます。実際には、便軟化剤は便の表面張力を減少させ、便中に水分を浸透させて便を軟らかくする界面活性剤です。便軟化剤は便の量も幾分増加させるため、大腸の自然収縮を促し、この点でも排便を容易にします。しかし、軟化した便の状態を不快に感じる人もいます。便軟化剤は、たとえば痔のある人や最近手術を受けた人など、排便時の力みを避けなければならない人に最適です。

● 浸透圧性下剤
浸透圧性下剤は、大腸に大量の水分を引きこむことで、便をゆるめて軟らかくします。過剰な水分は大腸壁を拡張させ、収縮を刺激します。この下剤の成分はほとんど吸収されない塩類や糖類です。腎臓病や心不全のある人には水分貯留を起こすことがあり、特に大量投与または頻回投与した場合に起きます。マグネシウムやリン酸を含む浸透圧性下剤は、一部が血液中に吸収されるため腎不全患者に有害なことがあります。この下剤は普通は服用後3時間以内に効果が現れます。これらの薬は、消化管のX線撮影や大腸内視鏡検査を行う前に腸を空にするためにも用いられます。

● 刺激性下剤
刺激性下剤は、センナ、カスカラなどの刺激成分が含まれており、大腸壁を直接刺激して収縮させ、便を移動させます。刺激性下剤は経口投与では6〜8時間で半固形状便の移動を起こしますが、腹部けいれんを起こすこともよくあります。座薬として用いると15〜60分で作用が現れます。
刺激性下剤の長期使用は、結腸メラノーシスと呼ばれる大腸内膜の色素沈着による異常な変化をもたらします。また、長期使用はこの下剤の依存症を引き起こし、大腸がその働きを下剤に依存する腸弛緩症候群を起こします。したがって刺激性下剤による便秘の治療は短期間にとどめておくべきです。オピオイドなどのほぼ確実に便秘を起こす薬を使用している人には、刺激性下剤は便秘の予防薬として効果があります。診断のための検査の前にも、しばしば大腸を空にするために刺激性下剤が使われます。

● 膨張性薬剤
ふすまやオオバコ種子、さまざまな野菜の繊維質などの膨張性薬剤は、便の量を増加させます。便量が増えると腸の自然収縮が促され、便が軟らかくなり腸内を通過しやすくなります。膨張性薬剤はゆっくりと穏やかに作用し、定期的な便通を促進するための下剤として最も安全に使用できます。最初は少量服用し、便通が規則的になるまで、徐々に用量を増加させます。膨張性薬剤を服用する人は水分を十分摂取しなければなりません。

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