Subject  : その他の細菌性感染症

カテゴリー: 健康・医療情報 


 その他の細菌性感染症
 ● ブルセラ症
原因菌:ブルセラ菌
感染源:家畜、水牛、非殺菌乳、汚染された乳製品
症状:数カ月から数年にわたり繰り返す発熱。腹痛、嘔吐、下痢、骨や関節の痛み
治療:ドキシサイクリンの内服と併せてストレプトマイシンを毎日注射する
メモ: 食肉処理業者、獣医、農業従事者、畜産業者は感染リスクが高い

 ● ネコひっかき病
原因菌:バルトネラ‐ヘンセレ
感染源:飼いネコ
症状:ネコにひっかかれたあとに赤くかさぶたに覆われた水疱が生じる。リンパ節が腫れて膿がたまり、皮膚に穴が開いて排出される
治療:患部を温める。鎮痛薬、アジスロマイシンの投与も可
メモ: 世界中のほとんどの飼いネコが感染している(大半が無症状)

 ● エリジペロスリックス症
原因菌:エリジペロスリックス‐ルシオパシエ
感染源:動物関係のものを扱っている作業中の刺し傷
症状:外傷部分の皮膚が赤紫色になって硬くなる。かゆみ、灼熱感、腫れ
治療:ペニシリンを1回注射またはエリスロマイシンを1週間内服。通常は治療を行わなくても回復する
メモ: まれに関節や心臓弁に感染する

 ● ナイセリア感染症
原因菌:髄膜炎菌
感染源:髄膜炎菌は人の体内にすむ常在菌の1種
症状:髄膜炎症状(頭痛、錯乱、傾眠、昏睡、死)
治療:セフトリアキソン
メモ: ほとんどの種類に対し有効なワクチンがある

 ● ノカルジア症
原因菌:ノカルジア属(主にノカルジア‐アステロイデス)
感染源:ノカルジア属は土中の腐食物にすむ。肺感染症は汚染したほこりを吸いこむことで起こり、皮膚感染症は刺し傷から起こる
症状:せき、脱力感、悪寒、胸痛、息切れ、発熱、肺膿瘍、皮膚のただれ
治療:トリメトプリム‐スルファメトキサゾール(ST合剤)、またはイミペネムとアミカシンを併用で数カ月から1年
メモ: 慢性疾患のある人や免疫抑制薬の投与を受けている人はリスクが高い。感染例の3分の1で脳に感染が広がり膿瘍を引き起こす。死に至る場合もある

 ● 鼠咬(そこう)症
原因菌:ストレプトバチルス‐モニリフォルミス
感染源:野生のネズミ。ときに感染したげっ歯類を食べたイヌ、ネコ、フェレット、イタチなどの肉食動物。げっ歯類に汚染された食品
症状:悪寒、数カ月にわたり繰り返す発熱、嘔吐、頭痛、腰痛、関節痛、手足の発疹、関節の腫れ
治療:ペニシリンまたはエリスロマイシン
メモ: ネズミにかまれた場合は、予防目的で抗生物質を処方することが多い。米国ではストレプトバチルス‐モニリフォルミスによる鼠咬症が多い。アジアでは鼠咬症スピリルムが原因の場合が多い。症状は似ているが、後者ではかまれた部位が炎症を起こし、リンパ節の腫れ、疲労感、発疹がみられる点が異なる。この種の鼠咬症の治療にもペニシリンまたはエリスロマイシンを使用する

 ● 回帰熱
原因菌:ボレリア属の細菌
感染源:キモノジラミ、軟ダニ
症状:突然の悪寒から始まる高熱(発熱は1〜2週間間隔で繰り返す)。激しい頭痛、嘔吐、筋肉痛と関節痛。赤みを帯びた湿疹(胴体、腕、脚)。黄疸、肝臓と脾臓の腫大、心臓の炎症、心不全
治療:テトラサイクリン、エリスロマイシン、ドキシサイクリン

 ● リステリア症
原因菌:グラム陽性桿菌であるリステリア菌
感染源:動物の腸内に生息、菌に汚染された肉、乳製品、生野菜
症状:髄膜炎、眼の感染症、流産、嘔吐、下痢など(脳膿瘍、心内膜炎)
治療:抗生物質のアンピシリンで治癒します。心臓弁の感染がある場合は、トブラマイシンのような抗生物質を併用します。眼の感染にはエリスロマイシンを内服
メモ: 妊娠中にリステリア症にかかると、胎児が子宮内で死亡して流産したり、生まれてすぐに死亡したりすることがあります。生後1〜2週間に髄膜炎を起こすこともあります。
 ⇒ 感染症の種類

[メニューへ戻る]  [HOMEへ戻る]  [前のページに戻る]