Subject  : ADHD(注意欠陥多動障害)

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 ADHD(attention deficit/hyperactivity disorder)
 ADHDは、不注意(注意の持続困難、転導性)、多動(過動)、衝動性の3徴候によって特徴づけられる行動障害で、小児期に発症し、その多くは青年期、成人期にまで持ち越すといわれています。
 小学校低学年くらいまでの子供、特に男児は多かれ少なかれ落ち着きがないないものですが、それが一定の閾値を超えて広い意味での社会的不適応の原因となる場合に、所定の診断手続きを経てADHDと診断されます。  ADHDは基本的に生物学的背景を持った発達障害と考えられています。  ADHDの診断は、国際診断基準(DSM-IV)ないしICD-10に基づいて行われていますが、これらの基準自体何回もの歴史的変遷を経ていて、いまだに多くの問題を抱えています。例えば、診断基準にあげられている症状をそのまま思春期、成人や女性のADHDに当てはめることは困難です。また7歳以前の発症という条件についても科学的根拠に乏しく、それ以降に気づかれるADHDも少数存在します。  除外診断として広汎性発達障害があげられており、両者の併存は認められていませんが、高機能の広汎性発達障害とりわけアスペルガー症候群(asperger's syndrome;小児自閉症の1種)ではしばしばADHDと区別困難な行動特徴を示し、併存を認めるか更なる検討が必要です。  ADHD児は経過の中で様々な他の併存障害を持ち、共通の背景を持つものに学習障害があり、ADHDに起因する作業記録の障害が想定されています。社会心理的要因との相互作用の中で形成されるものとして、反抗挑戦性障害、行為障害、不安障害、気分障害などがあります。これらは、陰性体験の積み重ねから来る自尊感情の低下、自己不全感から悪循環的に展開して行くものです。

 【症状】
 ・落ち着きがなく、気が散りやすく、静かに遊んだり、勉強をすることができない。
 ・おしゃべりが多く、まだ質問が終らないうちに出しぬけに答えることが多い。
 ・カッとなりやすく友達ができない。
 ・不器用で字のバランスがとれず、体操も不得手
 ・物忘れが多く、学校での忘れ物は頻回


 【治療】
 ADHDの治療の目標は自尊感情の低下、自己不全感から、情緒不安定や問題行動などの不適応症状、さらに行為障害などの併存障害へと展開して行く悪循環を断ち切ることで、より積極的には自己有能感を高めてADHDの肯定的な面を生かせるように援助することです。  そのためには陰性/否定体験を減らし、陰性/肯定体験を増やす必要があります。  ADHDの治療の大きな柱は、社会心理的治療と薬物治療です。社会心理的治療〜家族がADHD児とどうやってつきあってゆくかを指導するペアレントトレーニングや、学校でADHD児が集団の中で友達とどう折り合い、どう学習に取り組むかに関わる教育的なアプローチです。  薬物治療の中心はメチルフェニデート(methylphenidate)をはじめとする中枢刺激剤です。日本では短時間作用型のリタリンのみです。(保険適応外)
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