Subject  : 深部静脈血栓症

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 深部静脈血栓症
血液の変化や血流の障害が主因となり静脈内に血栓が形成されるものを静脈血栓症、静脈壁の障害が主因となるものを血栓性静脈炎といいます。  血栓性静脈炎は、静脈血栓に炎症を伴ったもので、炎症性経過のはっきりしない静脈血栓症とは区別されますが、静脈血栓症に伴って発症する可能性が高いとされています。
また、血栓は、脚の深部静脈に深部静脈血栓症を起こし、脚の表在静脈には表在性血栓静脈炎を起こします。

深部静脈血栓症と血栓静脈炎には重要な違いがあります。深部静脈血栓症ではわずかな炎症しか起こりません。血栓の周りの炎症が軽いほど、血栓が静脈壁に付着する力は弱く、はがれ落ちて塞栓となり、血流とともに移動して動脈内に入りこみ、血流を詰まらせる可能性が高くなります。さらに、回復期に患者の活動が活発になったときなどには特に、ふくらはぎの筋肉の作用によって深部静脈に形成された血栓が押し出されることがあります。つまり、危険なのは深部静脈で形成された血栓です。表在性の血栓静脈炎には痛みが伴いますが、血栓が小さいために普通は表在静脈が塞栓を起こすことはなく、比較的無害です。
深部静脈血栓症には、ウィルヒョウの3主徴として知られる3つの主要な要因がかかわっています。それは、静脈内層の傷害、血液の凝固傾向の亢進、血流速度の低下です。
脚の静脈の血液は心臓から肺へと流れていくため、脚の静脈で生じた塞栓が心臓を通過して肺の動脈に詰まり 肺塞栓症 を起こすことがあります。肺塞栓症の重症度は塞栓の大きさと数によって異なります。小さな1個の塞栓が細い動脈に詰まった場合は、肺組織のごく小さな部位で壊死が起こるだけです(肺梗塞)。しかし、大きな肺塞栓症は、心臓の右室から肺に入る血流を、完全にあるいはほとんどふさいでしまい、急死につながることがあります。

 【症状】
深部静脈血栓症では炎症がほとんど生じないため、痛みも静脈上の皮膚の発赤もごくわずかです。患者の約半数は無症状です。このような場合には肺塞栓症による胸の痛みが異常を知らせる最初の症状となります。深部静脈血栓症によって下肢の太い静脈の血流が遮断されるとふくらはぎが腫れて、痛み、圧痛、熱感などの症状が現れます。足首、足、あるいは太ももが腫れる場合もありますが、これはどの静脈に血栓が形成されたかによって異なります。

 【治療法】
大多数の症例は内科的治療で改善しますが、血栓摘除などの外科的治療が必要な場合もあります。最も重要かつ重篤な合併症は肺動脈塞栓症です。
血栓が大きくならないようにするには、抗凝固薬を投与しながら、足の方を15センチメートルほど高くしたベッドで安静にする必要があります。一般的な抗凝固薬療法では、低分子量ヘパリンを皮下注射した後に、経口薬のワルファリンを服用します。ワルファリンの服用期間は人によって異なります。深部静脈血栓症を1回発症しただけの活動的な若い人の場合は、2カ月間の服用で済みます。 ワルファリンを服用すると、内出血、外出血を問わず出血のリスクが増大します。このリスクをできるだけ低く抑えるために、定期的に血液検査を行って凝固時間を測定し、結果に基づいてワルファリンの投与量を調整します。
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