Subject   : 胡椒(ペッパー)

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 胡椒(ペッパー)
胡椒(こしょう)は学名 Piper nigrum、 コショウ科の熱帯性常緑つる性植物であり、またその果実からなる香辛料で、スパイスの王様。
「胡」はシルクロード、「椒」は、ひりひり辛いもの、香辛料で、シルクロードを経て運ばれてきた香辛料の意味です。

 大きなものは5〜10メートルに達し、他の木に巻きついて生長する。ブドウの房のように果実がなり、未熟の時は緑色。熟してくると赤くなる。 収穫できるのは発芽後3年くらいからで、その後も15〜20年ほどは毎年実を取ることができる。1本のつるからは2キロほどの胡椒を取ることができるという。
こしょうの原産地はインド南部のケララ州マラバル地方。2500年ほど前にかかれたインドの抒情詩「ラーマーヤーナ」のなかに、「塩と胡椒で食べる食べ物」といった記述がある。南インドでの栽培は紀元前500年代から始まっている。現在はインド、インドネシア、マレーシア、ブラジルなどで栽培されている。

中世のヨーロッパでは「一握りの胡椒は、同じ重さの黄金、もしくは牛一頭と引き換えにされた」という言葉がある。 1453年に、胡椒の交易ルートを抑えていた東ローマ帝国が滅亡すると、ヨーロッパの各国は新たな交易ルートの開拓に走る。 14世紀から16世紀にかけての大航海時代とヨーロッパ列強のアジア進出は、胡椒をはじめとする香辛料の獲得という目的があったのだ。 インド航路を開発したバスコ・ダ・ガマの持ち帰った香辛料は、仕入れ値の60倍以上の値段で売れたと言われる。

胡椒の辛味は不揮発性エーテル抽出物オレオレジンに含まれ、その主成分はピペリン、シャビシン、ビペリジンなど。主な辛味成分はピペリンで、細かく粉砕すればするほど強く感じられるようになる。油に溶けやすいので、 コショウと油の相性も良いと言える。 香り成分は油脂分に含まれ、その主成分はα−ピネン、β−ピネン、l−α−フェランドレン、β−カリオフィレン、リモネン、ピペロナールなどで構成される。
強力な殺菌・抗菌作用があり、冷蔵技術が未発達であった中世、特にヨーロッパにおいては、肉の保存、またその料理に不可欠のものであった。

● 白こしょうと黒こしょう
胡椒は黒こしょう(ブラックペッパー)、白こしょう(ホワイトペッパー)、グリーンペッパー、ピンクペッパーなどの種類がある。 熟していない緑色の実を果皮ごと天日に乾すと黒胡椒となり、強い独特の風味がある。塩漬けしたり、あるいは乾燥機を使って短期間で乾燥させると、果皮が緑色のままのグリーンペッパーとなる。赤く熟した実を水に浸して皮を取り除き、核だけを乾燥させたのが白こしょうで、黒こしょうよりマイルドな味である。この赤い実を塩漬けや乾燥機などの手段で短期間に乾燥させると、元の色が残ったままのピンクペッパーとなる。いずれの場合も丸のまま使ったり、あるいは胡椒挽き(ペッパーミル)で粉にして使用する。

 ⇒ 香辛料

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